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その時々に考えたことをとりあえずメモしています

囲い込みの得失 ~専有権と報酬請求権~

新しいビジネスモデル、たとえば一昔前なら iTunesGoogle といったサービスを始めるにあたり、日本のメーカーやキャリアーなどは「日本は著作権者の力が強すぎて踏み出せない。これでは海外勢に負けてしまう。」と言うことがありました。これについて考えてみようと思います。
新しいビジネスにストップにかける「力」というのは、具体的には法で定められた権利、著作権法では、第17条~第28条に定められた「専有権」を指します。簡単にいえば、著作物の利用を「ひとり占め」して良い権利です。他社にしてみれば、NO!を突き付けられるとビジネスを停止させられてしまう、非常に怖い権利です。

この専有権というもの、他の知的財産権(特許権、意匠権など)では、ごく当たり前のことなのです。知的財産権は、知恵を出した人の労苦を認め、一定期間、独り占めにしていいよ、と国が認める制度。権利の使い方(権利行使)の基本は「ひとり占め」にあるんですね。

ひとり占め、とは聞こえが悪いけど、研究開発や制作に莫大なコストがかかることを思えば、回収のため一定期間ひとり占めを許さないと、誰もリスキーなチャレンジをしなくなります。
タイトルの「囲い込み」というのは、この「専有権」の行使を指します。

日本のメーカーやキャリアーなどの不満は、せっかく築いたビジネスモデルを、この「囲い込み」を武器に崩されてはたまらない、という点にあります。確かに検索エンジンのサーバが国内に置けないなど、長い目で見た場合に日本の損失が大きくなり、海外に負けてしまう危険があります。

囲い込みは、一見権利者にメリットをもたらすけど、国 vs 国のように、大きい目で得失を考えると、国レベルでは損失が発生することもあるのだと思います。

これをうまく調整する方法を考えていくことは、国の発展を考えるうえで、けっこう大事なことなんでしょうね。

今、専有権の反対の極にある「報酬請求権」について考えはじめています。囲い込みは許さないけど、お金だけは戻ってくるようにする権利です。まだ始めたばかりで何もまとまっていないのですが、いずれ書いてみようと思います。

鍵になるのは、レコードメーカーや地方の放送局など、囲い込みがないとビジネスが成り立ちにくい場合、どう切り盛りするかに知恵をひねることかと。ムズカシイ。

追伸、この記事、いろいろ考えさせられます。野心は良いけど、野蛮にまでは成り下がりたくないなあ、と。

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