音楽とか文化とか

その時々に考えたことをとりあえずメモしています

2014-01-01から1年間の記事一覧

とあるマスターと宮川泰さんと

今から10年ほど前。大阪でとある初老の元ドラム奏者と出会った。彼は大阪城にほど近い京橋で飲食店のマスターをされていたが、店内にはそのマスターがドラマーとして活躍していたころの写真が一杯飾ってあった。番組終了後にスタッフ全員で撮影したようなス…

ウナ・セラ・ディ東京と岩谷時子さんと

昨日から、なぜか「ウナ・セラ・ディ東京」の切ないメロディが頭から離れなくなり、この曲について思いを巡らす週末を過ごした。この曲のファーストレコーディングは1963年。作詞は岩谷時子さん、作曲は宮川泰さん。ずいぶんオトナになってから、このコンビ…

著作権ロイヤリティは「B to C」では回収できないこと

先月の文化審議会著作権小委員会で、汎用ストレージ(クラウド)サービスについて、JASRACなど権利者側が意見を述べた。その際、T氏というインターネットユーザーを代表する委員が、公の立場にあるにもかかわらず、一私人として反対意見を批判的にツイッター…

キャバクラ・ピアノ生演奏事件の判決文を読む

しばらく前にピアノ生演奏していたキャバクラが著作権侵害で訴えられた事件が報道されました。 キャバクラ:生演奏「著作権を侵害」 東京地裁判決(6月26日毎日新聞) 知財事件の判決文は、わりとすぐに最高裁ホームページの知財判例集に掲載されます。この事…

音楽出版社を知る(2)

前回は音楽出版社のアウトラインについて触れました。今回は音楽出版社が著作権者となることが、なぜ音楽業界で一般化したかを考えてみようと思います。音楽作家(作詞家・作曲家など)は通常、創作や演奏、録音といった制作段階までが仕事の領分です。出来…

音楽出版社を知る (1)

一般の方には聞きなれない「音楽出版社」。よく楽譜出版社と混同されるのですが、全く別のものです。音楽出版社は、手短かにいえば、作詞家・作曲家などのパートナーとして、彼らの著作権を管理する、というのが本来の機能です。音楽出版社が一般に分かりに…

人知れず進む文化の衰退-録音コストの漸減について

ブロードバンドとファイル圧縮の技術進歩が、音楽流通の世界にパラダイム・シフトをもたらしたことは間違いありません。そして、無料で情報を享受できるインターネットの世界では、有料サービスがうまく行かないのは、当然の成り行きだったのでしょう。 この…

インターネットの暗黒面「匿名の闇」について

インターネットが多くの人の生活に定着したのは、15年程前ではないかと思います。 私の場合インターネット対応のPCを買ったのが97年。そして99年頃だったか、職場の若手が「MP3(圧縮音楽ファイル)がすごい勢いですよ。CD買う必要無くなっちゃいますね」と…

保護期間70年を考える

TPPで海外から要求されている項目のひとつに、著作権保護期間の延長がある。現行50年を欧米の著作権先進国並みに、70年に延長せよ、という要求である。今日はこれについて考えてみたい。 実は「何のための延長か」という点について、本質的なオピニオンがど…

文化予算から日本を考えてみる

かなり古くなってしまったが、文化庁公式サイトにこんな資料がアップされている。文化関係予算の国際比較英仏の文化予算が日本の数倍にのぼる、というのは、両国のお国柄から推して測れるし、米国は一見少なそうに見えても、税制優遇によって民間からの寄付…

消えゆくマスターテープについて

音楽ソフト2013年年間マーケットレポート、2年ぶり前年比減〜オリコン発表 音楽ソフトの売り上げが右肩下がり、というニュースは珍しくもなくなってしまった。そんな中にもかかわらず、レコード会社などコンテンツメーカーを非難する声があることに、音楽好…